Thursday 31 January 2008

窓(ギヨーム・アポリネール)

赤から緑にむかってすべての黄色は死んでゆく
鸚鵡が故郷の森で歌うとき
ピヒの臓物
片翼の鳥について書くべき詩がある
私たちはそれを電話線で送信する
巨大な外傷体験
涙がわんわん湧き出す
若いトリノ娘たちに混じってひとりきれいな娘がいる
あわれな若者が自分の白ネクタイで鼻をかんだ
きみは幕を開ける
するとこんどは窓が開くんだ
両手が光を編むときの蜘蛛
青ざめた美しさ 測り知れない紫
私たちは休憩をとろうとするが果たせない
深夜十二時に始めよう
時間があるときには自由がある
巻貝とかアンコウ たくさんの太陽と夕陽の海胆(うに)
窓の前には古い黄色い靴が一足

塔とはすなわち通り
井戸
井戸すなわち広場
井戸
うろになった木々が野良の牝山羊たちをかくまう
シャバンたちが死にそうに退屈な歌をうたっている
マロン色をしたシャビンヌたちにむけて
そしてガアガア鵞鳥は北でらっぱを吹く
そこではアライグマ猟師たちが
毛皮をがりがり掻いている
きらめくダイアモンド
ヴァンクーヴァー
そこでは雪白と夜の火の列車が冬を逃れてゆく
おお パリ
赤から緑にむかってすべての黄色は死んでゆく
パリ ヴァンクーヴァー イェール マントノン ニューヨーク アンティーユ諸島
窓はオレンジのように開く
美しい光の果実

(Guillaume Apollinaire, Les Fenêtres)