Monday 14 January 2008

農夫たちに囲まれた天使(ウォレス・スティーヴンズ)

(田舎者の一人。)

               誰も
来ない戸口にも歓迎があるものでしょうか?

(天使。)

私は現実の天使、
しばらくのあいだ戸口に立っているのを目撃された。

私は灰の羽も金の衣装もなく
なまぬるい光輝をもたぬままに生きている、

あるいは私の存在と知識に伴走するためではなく
別れてゆくためにすら後を追ってくる星もなく。

私はきみたちの一人でありその一人であるとは
私の存在としてあることであり私の知識を知っていること。

けれども私は大地に必要な天使だ、
というのは私の視覚において、きみらは再び大地を見るのだから、

その硬く頑迷な、人間が組んだ舞台が一掃され、
そして、私の聴覚において、きみたちは大地の悲劇的な持続低音が

水びたしの水っぽい言葉のような液体的な名残の中に
液体的に立ち上るのを聴く。ちょうど中途半端な意味の

反復により語られた意味のように。だがそういう私も
私もやはり、いわば半ばだけの形象ではないのか、

半ばだけ見られた姿、あるいは一瞬のみ見られた、
心の中の人、ごく軽いまなざしの装いだけ

をまとった出現、それで肩をくるりと一度
回せばたちまち、あまりにもたちまち、私は消えるのか?

(Wallace Stevens, Angel Surrounded by Paysans)