Thursday 17 January 2008

ただあるものについて(ウォレス・スティーヴンズ)

心の果ての椰子の木が、
最後の思考の彼方で、立ち上がる
ブロンズ色の遠方に、

黄金の羽をした鳥が
その椰子の木の中で歌う、人間の意味を欠き、
人間の感情を欠き、異質な歌を。

するときみにはわかる、われわれを幸福にしたり
不幸にしたりするのは理性ではないのだと。
鳥が歌う。その羽が輝く。

椰子の木は空間の縁に立っている。
風が枝の中をゆっくり吹きすぎる。
鳥の火色をした羽がだらりと垂れ下がる。

(Wallace Stevens, Of Mere Being)