Tuesday 8 January 2008

狼(ジュール・シュペルヴィエル)

爪を使い牙を使って
堅牢な夜を掘り進む獣、
繊細な舌をもつ無愛想な狼は
十万年前からずっと飢えている。

ああ、あいつがもし永遠と
死者の一団を噛み砕くなら
骨のものすごい音がするだろう
割れる顎のせいで。

あいつは石の影を探る
あの国々を探しているのだ
あいつの先を行き、後を追いかける
好戦的な飢餓のおおもとを。

太陽たちによって轢き潰され
月たちに見張られる心をもち
あいつは群れなして死んでゆくだろう
宇宙の熱病で。

(Jules Supervielle, Un loup)