Sunday 20 January 2008

雨(ホネ・トゥファレ)

先週、ニュージーランド南島のダニーデンのとある老人ホームで、ホネ・トゥファレが亡くなりました。1922年生まれの彼は、英語で作品が発表された、最初のマオリの詩人でした。ここに彼のもっとも有名な作品である「雨」を掲げ、冥福を祈りたいと思います。

   雨

おれには聞こえる きみが
小さな穴を
沈黙に開けているのが
雨よ

もしおれの耳が聞こえなくても
おれの肌の毛穴が
きみのために開き
また閉ざすだろう

そしておれには
きみがわかるはず
きみが舐めてくれるとき
たとえ目が見えなくても

きみは何か特別な
匂いがする
太陽が地面を
からからに乾かすとき

安定した
太鼓の音みたいだ
風がやんだとき
きみが立てるのは

だがもしおれに
きみのことが
聞こえもせず匂いも
肌触りもわからず目にも見えなくたって

やっぱりきみが
おれを定義する
おれを分散させる
おれを洗いつくす
雨よ

(Hone Tuwhare, Rain)