Saturday 19 January 2008

孔雀王子の逸話(ウォレス・スティーヴンズ)

月明かりの中
私は<狂った戦士>に会った、
月明かりの中
やぶだらけの野原で。
ああ、彼は尖っていた
不眠の人のように!

それから「なぜきみは赤い
この乳の青の中で?」
と私は訊ねた。
「なぜ太陽の色をしている、
まるでいま
眠りの途中で目覚めたみたいに?」

「さまよう者よ」
と彼はいった、
「やぶだらけの野原では
すぐに忘れてしまう。
だが私は罠を
夢の途中にしかけて回るんだ」

これで私が学んだのは
この青い地面が
邪魔物や
鉄の罠でいっぱいだということ。
私が学んだのは
やぶだらけの野原の恐ろしさ、
そしてそこに降る
月明かりの
美しさ、
降りしきっている
この無知な大気に
眠りが降るように。

(Wallace Stevens, Anecdote of the Prince of Peacocks)