はじめひとすじの光線、ついでもうひとつ、それから
千のそれが空にひろがってゆく。
ひとつひとつが星にして大地であり、日とは
それらの大気の富にほかならない。
海はそのぼろきれみたいな色を貼りつけている。
海岸はつつむような霧の土手だ。
まるでドイツのシャンデリアだといいたくなる----
一本のろうそくで世界を照らすには十分だ。
それがそれを明瞭にする。正午にすら
それは本質的な暗闇の中できらめく。
夜には、それは果物とワインを照らす、
本とパンを、ありのままの事物を、
人が腰を下ろして青いギターを弾いている
キアロスクーロの中で。
(Wallace Stevens, The Man With the Blue Guitar)