赤から緑にむかってすべての黄色は死んでゆく
鸚鵡が故郷の森で歌うとき
ピヒの臓物
片翼の鳥について書くべき詩がある
私たちはそれを電話線で送信する
巨大な外傷体験
涙がわんわん湧き出す
若いトリノ娘たちに混じってひとりきれいな娘がいる
あわれな若者が自分の白ネクタイで鼻をかんだ
きみは幕を開ける
するとこんどは窓が開くんだ
両手が光を編むときの蜘蛛
青ざめた美しさ 測り知れない紫
私たちは休憩をとろうとするが果たせない
深夜十二時に始めよう
時間があるときには自由がある
巻貝とかアンコウ たくさんの太陽と夕陽の海胆(うに)
窓の前には古い黄色い靴が一足
塔
塔とはすなわち通り
井戸
井戸すなわち広場
井戸
うろになった木々が野良の牝山羊たちをかくまう
シャバンたちが死にそうに退屈な歌をうたっている
マロン色をしたシャビンヌたちにむけて
そしてガアガア鵞鳥は北でらっぱを吹く
そこではアライグマ猟師たちが
毛皮をがりがり掻いている
きらめくダイアモンド
ヴァンクーヴァー
そこでは雪白と夜の火の列車が冬を逃れてゆく
おお パリ
赤から緑にむかってすべての黄色は死んでゆく
パリ ヴァンクーヴァー イェール マントノン ニューヨーク アンティーユ諸島
窓はオレンジのように開く
美しい光の果実
(Guillaume Apollinaire, Les Fenêtres)
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Thursday, 31 January 2008
Friday, 25 January 2008
月光(ギヨーム・アポリネール)
月は流れる蜜となって狂人の唇にふれる
果樹園も村々も今夜は大食いだ
星たちはなかなか上手に蜜蜂を演じている
葡萄棚から滴り落ちる光の蜜を集めて
いま空からやさしく降ってくる
光はそのまま蜜なのだ
ところで身を隠した僕はきわめて甘美な事件を理解する
この北極星という蜜蜂の火の針は恐ろしい
僕の両手に期待はずれの光を持たせ
その月の蜜を風の薔薇(羅針盤)から奪ったのはそいつでした
(Guillaume Apollinaire, Clair de lune)
果樹園も村々も今夜は大食いだ
星たちはなかなか上手に蜜蜂を演じている
葡萄棚から滴り落ちる光の蜜を集めて
いま空からやさしく降ってくる
光はそのまま蜜なのだ
ところで身を隠した僕はきわめて甘美な事件を理解する
この北極星という蜜蜂の火の針は恐ろしい
僕の両手に期待はずれの光を持たせ
その月の蜜を風の薔薇(羅針盤)から奪ったのはそいつでした
(Guillaume Apollinaire, Clair de lune)
Tuesday, 22 January 2008
さよなら(ギヨーム・アポリネール)
このヒースのひと茎を摘みとった
秋は死んだよ 覚えてるだろう
おれたちはもう地上で会うことがない
時の匂い ヒースの茎
思い出してくれ おれが待っていることを
(Guillaume Apollinaire, L'adieu)
秋は死んだよ 覚えてるだろう
おれたちはもう地上で会うことがない
時の匂い ヒースの茎
思い出してくれ おれが待っていることを
(Guillaume Apollinaire, L'adieu)
Monday, 21 January 2008
いつも(ギヨーム・アポリネール)
フォール=ファヴィエ夫人に
いつも
おれたちはより遠くへゆこう 前進することなく
惑星から惑星へ
星雲から星雲へ
一〇〇三の彗星のドン・フアンだ
地球から動きもしないのに
新しい諸力を見つけるんだ
そして幽霊のことを真剣に受け止める
たくさんの宇宙がみずからを忘却する
どいつがひどい忘れん坊なんだ
世界のこれこれの一部をわれわれに忘れさせるのは誰か
ひとつの大陸を忘却させてくれたコロンブスはどこにいる
失うこと
それも本当に失うこと
思いがけない発見に場所をゆずるために
失うことだ
人生を 「勝利」を見出すために
(Guillaume Apollinaire, Toujours)
いつも
おれたちはより遠くへゆこう 前進することなく
惑星から惑星へ
星雲から星雲へ
一〇〇三の彗星のドン・フアンだ
地球から動きもしないのに
新しい諸力を見つけるんだ
そして幽霊のことを真剣に受け止める
たくさんの宇宙がみずからを忘却する
どいつがひどい忘れん坊なんだ
世界のこれこれの一部をわれわれに忘れさせるのは誰か
ひとつの大陸を忘却させてくれたコロンブスはどこにいる
失うこと
それも本当に失うこと
思いがけない発見に場所をゆずるために
失うことだ
人生を 「勝利」を見出すために
(Guillaume Apollinaire, Toujours)
Sunday, 20 January 2008
角笛(ギヨーム・アポリネール)
われわれの歴史は高貴で悲劇的
まるで暴君の顔のように
偶然や魔法の筋書きなどない
どうでもいい細部などどこにもない
おれたちの愛を悲壮なものとするような
そしてトマス・ド・クインシーはオピウム
甘美で清純な毒を飲みながら
哀れなアンの夢を見続けた
行こう行こうすべては過ぎゆくのだから
おれは何度でも帰ってくるつもりだ
思い出はすべて角笛
その音は風にかき消され
(Guillaume Apollinaire, Cors de chasse)
まるで暴君の顔のように
偶然や魔法の筋書きなどない
どうでもいい細部などどこにもない
おれたちの愛を悲壮なものとするような
そしてトマス・ド・クインシーはオピウム
甘美で清純な毒を飲みながら
哀れなアンの夢を見続けた
行こう行こうすべては過ぎゆくのだから
おれは何度でも帰ってくるつもりだ
思い出はすべて角笛
その音は風にかき消され
(Guillaume Apollinaire, Cors de chasse)
Saturday, 19 January 2008
白雪(ギヨーム・アポリネール)
天使たち 空の天使たち
ひとりは士官姿
ひとりは料理人姿
他のみんなは歌っている
空色をした美男子の士官
クリスマスから遠く おだやかな春が
きれいな太陽のメダルをきみにくれる
きれいな太陽の
料理人が鵞鳥の羽をむしる
ああ! 降るのは雪(ネージュ)
降る そしてぼくには何がない(ネージュ)
両腕のあいだの愛しいあの娘
(Guillaume Apollinaire, La blanche neige)
ひとりは士官姿
ひとりは料理人姿
他のみんなは歌っている
空色をした美男子の士官
クリスマスから遠く おだやかな春が
きれいな太陽のメダルをきみにくれる
きれいな太陽の
料理人が鵞鳥の羽をむしる
ああ! 降るのは雪(ネージュ)
降る そしてぼくには何がない(ネージュ)
両腕のあいだの愛しいあの娘
(Guillaume Apollinaire, La blanche neige)
Tuesday, 15 January 2008
いぬサフラン(ギヨーム・アポリネール)
秋の牧場は有毒だが美しい
牛たちはそこで草を食み
緩慢に中毒してゆく
殴られた痣かリラの色をしたいぬサフランが
そこで花咲き きみの目はその花に似ている
花の痣のようにこの秋のように紫がかっている
おれの人生はきみの目に緩慢に中毒する
小学生たちが大騒ぎしながらやってくる
スモックを着てハーモニカを吹いてかれらは
母親つまり娘の娘みたいないぬサフランを摘む
それはきみの目蓋の色をしている
狂った風が叩く花みたいにばたばた開閉する目蓋
牧童がごく小さな声で歌っている
一方のろまな牝牛たちはモーモーといいながら
悪い花の秋の広い野原を捨てて二度と帰らない
(Guillaume Apollinaire, Les colchiques)
牛たちはそこで草を食み
緩慢に中毒してゆく
殴られた痣かリラの色をしたいぬサフランが
そこで花咲き きみの目はその花に似ている
花の痣のようにこの秋のように紫がかっている
おれの人生はきみの目に緩慢に中毒する
小学生たちが大騒ぎしながらやってくる
スモックを着てハーモニカを吹いてかれらは
母親つまり娘の娘みたいないぬサフランを摘む
それはきみの目蓋の色をしている
狂った風が叩く花みたいにばたばた開閉する目蓋
牧童がごく小さな声で歌っている
一方のろまな牝牛たちはモーモーといいながら
悪い花の秋の広い野原を捨てて二度と帰らない
(Guillaume Apollinaire, Les colchiques)
Sunday, 13 January 2008
ある夕方(ギヨーム・アポリネール)
大天使たちの白い空から一羽の鷲が降りてきた
おれを支えてください
これらすべての街路灯をまだ震えさせておくのですか
祈って おれのために祈ってください
この街は金属的でただ一つの星は
きみの青い目で溺れている
路面電車が走るとき見すぼらしい
鳥たちの上に青白い火がほとばしる
そしてきみの目の中で震えるおれの夢の
すべては たったひとりの男が飲んだもの
偽タマゴタケのように赤いガス灯の下で
着衣のきみの腕は体に巻きついていた
ごらん 軽業師が注意深い観客に舌を出す
一人の幽霊が自殺した
使徒はいちじくの木で首を吊りゆっくりよだれを垂らす
この恋はサイコロに賭けよう
透んだ音の鐘たちがきみの誕生を告げていた
ごらん
道に花が咲き椰子の木々が進む
きみにむかって
(Guillaume Apollinaire, Un soir)
おれを支えてください
これらすべての街路灯をまだ震えさせておくのですか
祈って おれのために祈ってください
この街は金属的でただ一つの星は
きみの青い目で溺れている
路面電車が走るとき見すぼらしい
鳥たちの上に青白い火がほとばしる
そしてきみの目の中で震えるおれの夢の
すべては たったひとりの男が飲んだもの
偽タマゴタケのように赤いガス灯の下で
着衣のきみの腕は体に巻きついていた
ごらん 軽業師が注意深い観客に舌を出す
一人の幽霊が自殺した
使徒はいちじくの木で首を吊りゆっくりよだれを垂らす
この恋はサイコロに賭けよう
透んだ音の鐘たちがきみの誕生を告げていた
ごらん
道に花が咲き椰子の木々が進む
きみにむかって
(Guillaume Apollinaire, Un soir)
Saturday, 12 January 2008
クロチルド(ギヨーム・アポリネール)
アネモネとアンコリー(おだまき)が
庭に生えてきた
そこにはメランコリーが眠っている
愛と軽蔑のあいだに
そこにはぼくらの影もやってきて
夜がそれを散逸させる
影たちは太陽が濃くし
影とともに太陽も消える
流れる水の神々は
髪をほどき流れにまかせる
こうなるときみにできるのは追うことだけ
欲しくてたまらないあの美しい影を
(Guillaume Apollinaire, Clotilde)
庭に生えてきた
そこにはメランコリーが眠っている
愛と軽蔑のあいだに
そこにはぼくらの影もやってきて
夜がそれを散逸させる
影たちは太陽が濃くし
影とともに太陽も消える
流れる水の神々は
髪をほどき流れにまかせる
こうなるときみにできるのは追うことだけ
欲しくてたまらないあの美しい影を
(Guillaume Apollinaire, Clotilde)
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