Showing posts with label Supervielle(1884-1960). Show all posts
Showing posts with label Supervielle(1884-1960). Show all posts

Monday, 14 January 2008

闘牛(ジュール・シュペルヴィエル)

この麦わらのことなら覚えている
それはあるやさしい一日
激しく頑固な一頭の馬がくれたもの
そいつは目隠しをされたまま
みずからのはらわたで賞讃を表現した。

(Jules Supervielle, La corrida)

Thursday, 10 January 2008

輪舞の道(ジュール・シュペルヴィエル)

地球は道をかけながら
みずからの思想のまわりで回転する
けれども野原、町、庭には
動かずにいろよ、と強いている。

雲がいくつもすばやく飛び過ぎる
逃げ出すやつがいないか、不安なんだ。

(Jules Supervielle, Chemin de ronde)

天文台(ジュール・シュペルヴィエル)

世界でもっとも大きな河が
あなたの両目と両腕を見えなくする
おれの心はそうと気づかぬまま
深い海の底のひとつの島となり、
姿を見せたがらない。

そのうち、あなたはすぐそばに近づいてきて
おれはあなたの沈黙を聴いた、
ちょうど、森のはずれで、
ひとりぼっちで、最後の木が聴いているように。
あなたは空の一点を見つめていた。

そして今おれはもう
あなたの古い街路の夜でしかない、
だがあなたのほうこそ
別世界の天文学者となったのではないか?
長い望遠鏡でおれを追いかけようと。

(Jules Supervielle, Observatoire)

Wednesday, 9 January 2008

アメリカにおけるアジアの後悔(ジュール・シュペルヴィエル)

天の国々を隠す
きわめて古い青空の下で
椰子の木々に巻きつく薔薇が
無限の「薔薇」にむかって伸びてゆく。

侵略的な微笑をもつ
バラモンたちの彫像のあいだで
名誉の、高いテラスが
その巨大なノスタルジアに屈服する。

そして心につきまとうピラミッドが
空の青みがかった一本の指をあげさせる
空無のそのむこうにある
何か本質的な目標にむかって。

おびただしい、古い時間において
誰がいったい秘密の時を濡らすのか
その人のためにけっして絶望したことのない
これらの薔薇、これらの石があるというのに?

(Jules Supervielle, Regret de l'Asie en Amérique)

Tuesday, 8 January 2008

椰子の木々の下(ジュール・シュペルヴィエル)

ジブチではすごく暑い、
ひどく金属的、激しく、非人間的
ブリキの椰子の木が植えてある
本物はすぐに枯れてしまうから。

砂漠の風に軋む屑鉄の
音を聴きながら木陰にすわると、
きみに降りかかってくるのは砂鉄、
たちまちきみに降り積もる。

けれどもいいことだってある、
列車みたいにガタゴトいう棕櫚の葉の下、
他の旅を想像できる、
はるかに遠くまで行ける旅を。

(Jules Supervielle, Sous les palmiers)

狼(ジュール・シュペルヴィエル)

爪を使い牙を使って
堅牢な夜を掘り進む獣、
繊細な舌をもつ無愛想な狼は
十万年前からずっと飢えている。

ああ、あいつがもし永遠と
死者の一団を噛み砕くなら
骨のものすごい音がするだろう
割れる顎のせいで。

あいつは石の影を探る
あの国々を探しているのだ
あいつの先を行き、後を追いかける
好戦的な飢餓のおおもとを。

太陽たちによって轢き潰され
月たちに見張られる心をもち
あいつは群れなして死んでゆくだろう
宇宙の熱病で。

(Jules Supervielle, Un loup)

Monday, 7 January 2008

エル・アルバ(朝の祈り)(ジュール・シュペルヴィエル)

羊毛の毛布が
詩人の体をおおう
一頭の羊がぼくの
寝台の縁に頭を置く。
ガラスの目玉をして
彼は海をわたったのか
それともアルゼンチンの
紺碧の空から降りてきたのか?
一匹の子羊がぼくの
ふるえる膝でぴょんと跳ねる
この膝はもう二十五年というもの
祈りのためについたことがない。

(Jules Supervielle, El alba)

草原(ジュール・シュペルヴィエル)

私の心の眠りが昼間のむすびめを解く
それは音もなくヨーロッパとアメリカを遍歴する
灯台を消して回る
セミの歌も。

過去、未来
私たちのまわりを嗅ぎまわる双子の犬みたいだ。

(Jules Supervielle, Prairie)