忘却は歌に似ている、
拍子や小節から解放されてさまよう歌に。
忘却は鳥のようだ、二つの翼が和解し、
ひろげられたままじっとしているーー
倦むことなく風に乗ってゆく鳥だ。
忘却とは夜の雨、
あるいは森の古い一軒家、ーーあるいは一人の子供。
忘却は白い、ーー枯れ木のように白い、
そしてそれはシビル(巫女)を驚かせて予言させる、
あるいは神々を埋葬する。
おれはずいぶんいろんな忘却を覚えている。
(Hart Crane, Forgetfulness)
Poetry in translation