(田舎者の一人。)
誰も
来ない戸口にも歓迎があるものでしょうか?
(天使。)
私は現実の天使、
しばらくのあいだ戸口に立っているのを目撃された。
私は灰の羽も金の衣装もなく
なまぬるい光輝をもたぬままに生きている、
あるいは私の存在と知識に伴走するためではなく
別れてゆくためにすら後を追ってくる星もなく。
私はきみたちの一人でありその一人であるとは
私の存在としてあることであり私の知識を知っていること。
けれども私は大地に必要な天使だ、
というのは私の視覚において、きみらは再び大地を見るのだから、
その硬く頑迷な、人間が組んだ舞台が一掃され、
そして、私の聴覚において、きみたちは大地の悲劇的な持続低音が
水びたしの水っぽい言葉のような液体的な名残の中に
液体的に立ち上るのを聴く。ちょうど中途半端な意味の
反復により語られた意味のように。だがそういう私も
私もやはり、いわば半ばだけの形象ではないのか、
半ばだけ見られた姿、あるいは一瞬のみ見られた、
心の中の人、ごく軽いまなざしの装いだけ
をまとった出現、それで肩をくるりと一度
回せばたちまち、あまりにもたちまち、私は消えるのか?
(Wallace Stevens, Angel Surrounded by Paysans)