赤から緑にむかってすべての黄色は死んでゆく
鸚鵡が故郷の森で歌うとき
ピヒの臓物
片翼の鳥について書くべき詩がある
私たちはそれを電話線で送信する
巨大な外傷体験
涙がわんわん湧き出す
若いトリノ娘たちに混じってひとりきれいな娘がいる
あわれな若者が自分の白ネクタイで鼻をかんだ
きみは幕を開ける
するとこんどは窓が開くんだ
両手が光を編むときの蜘蛛
青ざめた美しさ 測り知れない紫
私たちは休憩をとろうとするが果たせない
深夜十二時に始めよう
時間があるときには自由がある
巻貝とかアンコウ たくさんの太陽と夕陽の海胆(うに)
窓の前には古い黄色い靴が一足
塔
塔とはすなわち通り
井戸
井戸すなわち広場
井戸
うろになった木々が野良の牝山羊たちをかくまう
シャバンたちが死にそうに退屈な歌をうたっている
マロン色をしたシャビンヌたちにむけて
そしてガアガア鵞鳥は北でらっぱを吹く
そこではアライグマ猟師たちが
毛皮をがりがり掻いている
きらめくダイアモンド
ヴァンクーヴァー
そこでは雪白と夜の火の列車が冬を逃れてゆく
おお パリ
赤から緑にむかってすべての黄色は死んでゆく
パリ ヴァンクーヴァー イェール マントノン ニューヨーク アンティーユ諸島
窓はオレンジのように開く
美しい光の果実
(Guillaume Apollinaire, Les Fenêtres)