Friday 24 October 2008

私は見者に出会った(スティーヴン・クレイン)

私は見者に出会った。
彼は両手で
英知の書をもっていた。
「すみません」と私は声をかけた、
「読ませてください」
「子供よ----」と彼ははじめた。
「すみません」と私はいった、
「私を子供だと思わないでください、
もうすでに相当知っているのですから
あなたがお持ちの書物を。
ええ、相当に」

彼は微笑んだ。
それからその本を開いて
私の目の前にさしだした。----
すると突然私が盲目になったとは何という奇妙なことだろう。

(Stephen Crane, "I met a seer")