Friday 17 October 2008

見よ、厭な男の墓を(スティーヴン・クレイン)

見よ、厭な男の墓を、
そのそばには、いかめしい精霊ひとり。

そこに打ちひしがれた乙女がすみれの束をもってきた、
だが精霊が彼女の腕を摑んだ。
「彼は花には値しない」と彼はいった。
乙女は泣いた。
「ああ、彼を愛していました」
だが精霊は、険しいしかめ面をして
「彼は花には値しない」

さて、いいたいのはこういうこと----
もし精霊のいうことが正しいなら、
なぜ乙女は泣いたんだ?

(Stephen Crane, "Behold, the grave of a wicked man")