Sunday 19 October 2008

「真実とは」とある旅人がいった(スティーヴン・クレイン)

「真実とは」とある旅人がいった、
「岩だ、堅牢な砦だ。
私はしばしばそこに行き、
そのもっとも高い塔にも上った、
そこからは世界が闇だと見えた」

「真実とは」とある旅人がいった、
「息だ、風だ、
影だ、幽霊だ。
長いあいだ私はそれを追ったが、
その衣服の裾にさえ
さわったことがない」

そして私は二人目の旅人を信じた。
なぜなら真実とは私にとって
息、風、
影、幽霊であり、
その衣服の裾にさえ
私はさわったことがなかったから。

(Stephen Crane, "'Truth,' said a traveller")