Sunday 17 August 2008

青いギターをもった男14(ウォレス・スティーヴンズ)

はじめひとすじの光線、ついでもうひとつ、それから
千のそれが空にひろがってゆく。

ひとつひとつが星にして大地であり、日とは
それらの大気の富にほかならない。

海はそのぼろきれみたいな色を貼りつけている。
海岸はつつむような霧の土手だ。

まるでドイツのシャンデリアだといいたくなる----
一本のろうそくで世界を照らすには十分だ。

それがそれを明瞭にする。正午にすら
それは本質的な暗闇の中できらめく。

夜には、それは果物とワインを照らす、
本とパンを、ありのままの事物を、

人が腰を下ろして青いギターを弾いている
キアロスクーロの中で。

(Wallace Stevens, The Man With the Blue Guitar)