Saturday 12 July 2008

コネティカットにある川の中の川(ウォレス・スティーヴンズ)

スタイジアのこちらに大きな川がある、
最初の黒い瀑布と
樹木らしい知性をもたない樹木のところにやってくる前に。

スタイジアよりずっとこちらにあるその川では、
水の流れそのものが陽気だ、
陽光の中でほとばしり、ほとばしり。その川岸では、

歩く影はいない。川は運命的だ、
最後のあの川のように。だが渡し守はいない。
彼は流れる力にさからって方向を変えることができなかった。

それはそれについて語る外見の下には
見えない。ファーミントンの尖塔が
輝きそびえ立ちハダムがきらめき揺れる。

それは光と空気をもつ第三のありきたりさ、
ひとつのカリキュラム、いきおい、局地的抽象......
それを、いまいちど、ひとつの川と呼べ、名前のない流れだ

空間にみちて、季節を映し、それぞれの
感覚のフォークロアであり、それを呼べ、くりかえし、何度でも、
海のごとくどこにも流れつかないその川を。

(Wallace Stevens, The River of Rivers in Connecticut)