Tuesday 29 July 2008

ある特定者の経過(ウォレス・スティーヴンズ)

きょうは木の葉が鳴く、風に吹かれる枝にぶら下がって、
けれども冬の無は少しだけ少なくなった。
それはまだ凍った陰や固い雪でいっぱいだが。

木の葉が鳴く......人はただ離れてその悲鳴を聞くだけ。
それは誰か別の人を求めてのせわしない悲鳴だ。
そしてたとえ自分はすべてのものの一部だといってはみても、

そこには葛藤があり、それなりの抵抗がある。
そして一部であることは、しだいに衰える力の行使。
感じるのは生命をそのものとして与えるものの生命。

木の葉が鳴く。それは神が注意しているような鳴き声ではなく、
吹き消された英雄たちの名残る煙でも、人間の悲鳴でもない。
それはみずからを超越することのない悲鳴。

ファンタジアの不在において、空気の最終的発見の中、
物自体の中にある以上の意味はなく、
やがて、ついには、その悲鳴は誰にも関わりがなくなるのだ。

(Wallace Stevens, The Course of a Particular)