Thursday 13 March 2008

フアン・ブレーバ(フェデリコ・ガルシア・ロルカ)

フアン・ブレーバはもっていた
巨人の体と
少女の声を。
あんなトリルは他にどこにもなかった。
微笑の背後で
歌っているのは
痛みそのものだった。
呼び出すのは
眠るマラガのレモン林、
彼のすすり泣きには
海の塩の後味があった。
ホメロスのように、彼は
盲目のまま歌った。彼の声には
光なき海と干涸びた
オレンジを思わせるものがあった。

(Federico García Lorca, Juan Breva)