Sunday 9 March 2008

おぼろな自分の姿(トマス・ハーディ)

ここにあるのは古い床
踏まれ摩滅し くぼみ薄くなって、
ここにあるのは以前のドア
死者の足がかつて歩み入った扉。

彼女はここでいつもの椅子にすわっていた、
火にむかってほほえみながら。
演奏する彼はそこに立っていた、
高く いっそう高く 弓をかかげながら。

子供のように、私は夢の中で踊った。
数々の祝福がその日を鮮明に彩った。
すべてがきらめき輝いた。
でも私たちは互いから目をそらしていた!

(Thomas Hardy, The Self-Unseeing)