Sunday 29 June 2008

序曲(ロルカ)

 並木道が去ってゆく、
でもその反映を残してゆく。

 並木道が去ってゆく、
でも風を残してゆく。

 風は屍衣をまとっている
空の下、いっぱいに。

 でも川の上に残していった
そのこだまが漂っている。

 蛍たちの世界が
私の思い出に侵入した。

 そしてちっぽけな心臓がひとつ
私の指から発芽する。

(Federico García Lorca, Preludio)