身近で暖かいものなどわずかにしかない。
まるで私たちが子供だったことなどなかったかのようだ。
部屋にすわりなさい。月光の中では真実だ
私たちが若かったことなど一度もなかったかのようだということが。
私たちは目覚めているべきではない。これから
明るい赤の女が立ち上り
激しい金色の中に立ち、髪にブラシをかける。
彼女は考え深く ある一行のせりふをいうだろう。
彼女はかれらのことをあまり歌えないやつらだと考えている。
そもそも、空がこれほど青いときには、事物はみずからを歌う、
彼女のためにすら、すでに彼女のために。彼女は耳を傾け
彼女の色こそひとつの瞑想なのだと感じる、
きわめて陽気でありつつ かつてほど陽気ではない。
ここにいなさい。よく知った事物のことをしばらく語りたまえ。
(Wallace Stevens, Debris of Life and Mind)