Wednesday 26 November 2008

いばりちらす神よ(スティーヴン・クレイン)

I

いばりちらす神よ、
これみよがしにふんぞりかえって
空をのしのしと横切ってゆく神よ、
おれはあんたを怖れない。
いいや、もっとも高き天から
あんたは槍をおれの心臓に突き立ててくるが、
おれはあんたを怖れない。
いいや、たとえその打撃が
木をこっぱみじんにする稲妻のようであっても、
おれはあんたを怖れないよ、頬をふくらましたほら吹きよ。

II
もしあんたがおれの心を見抜き
おれがあんたを怖れていないとわかるなら、
なぜあんたを怖れていないかもわかるだろう、
そしてなぜそれが正しいかも。
だから威嚇しようなどと思うなよ、あんたの血なまぐさい槍で、
そんなことをすればあんたの崇高な耳が罵りを聞くことになるよ。

III
それでも、おれには恐ろしい相手がいる。
その顔に悲嘆が浮かぶのを見るのが怖いのだ。
おそらくは、友人よ、彼はあんたの神ではない。
もしそうなら、唾をかけてやれ。
そうしたって冒瀆にはあたらない。
だがおれは----
ああ、それくらいなら死んだほうがましさ
おれの魂の両目に涙を見るくらいなら。

(Stephen Crane, "Blustering god")