Thursday 27 November 2008

私の人生の途上で(スティーヴン・クレイン)

私の人生の途上で、
多くの美しい人たちと出会った、
みんな白い服を着て、まばゆく輝いていた。
そのひとりに、ついに、私は声をかけた。
「あなたは誰?」
でも彼女も、他の人々とおなじく、
顔を頭巾に隠したまま、
心配そうに、急いで答えた。
「私は<善行>です、
私のことは何度も見ているでしょう」
「顔を隠さないところは見ていませんよ」と私は答えた。
そして向こう見ずで強い手で、
彼女が抵抗したにもかかわらず、
私はそのヴェールをはずし
<うぬぼれ>の顔だちをじっと見つめた。
彼女は、恥じ入った顔で、歩み去った。
そしてしばし考え込んだのち、
私は自分にこういったのだ。
           「馬鹿者!」

(Stephen Crane, "Upon the road of my life")