第一の少女
この田舎者が愚にもつかないことをいいながら、
山刀を研ぎながらやってきたなら、
私は彼の前に走り出てやるわ、
ジェラニウムと香りのしない花々の
丁重この上ない匂いをふりまきながら。
すると手も足も出ないでしょう。
第二の少女
私は彼の前に走り出てやるわ、
魚の卵のように小さいいろいろな
色をちりばめた衣装を虹みたいにひろげて。
その糸が
彼をとまどわせるでしょう。
第三の少女
あらあら、その... あのかわいそうな人!
私は彼の前に走り出てやるわ、
妙な具合にふうふうと音を立てて。
すると彼は耳をそばだてるでしょう。
私は喉音の世界に天国の唇音を
ささやいてあげる。
彼はいちころでしょう。
(Wallace Stevens, The Plot Against the Giant)