Monday 31 December 2007

土臭い逸話(ウォレス・スティーヴンズ)

牡鹿たちが足音を立てて
オクラホマをかけぬけるたび
一匹の火猫が毛を逆立たせて立ちはだかった。

どこに行っても、
群れは足音を立て、それは
すみやかな、環状の線を描いて
かれらが右に逸れるまで変わらなかった
火猫のせいで。

あるいはすみやかな、環状の線を描いて
かれらが左に逸れるまで変わらなかった
火猫のせいで。

牡鹿たちは足音を立てた。
火猫は跳んだ、
右へ、左へ、
そして
毛を逆立たせて立ちはだかった。

それがすむと、火猫は明るい眼を閉じ
眠った。

(Wallace Stevens, Earthy Anecdote)