Monday 31 December 2007

巨人を攻める相談(ウォレス・スティーヴンズ)

  第一の少女

この田舎者が愚にもつかないことをいいながら、
山刀を研ぎながらやってきたなら、
私は彼の前に走り出てやるわ、
ジェラニウムと香りのしない花々の
丁重この上ない匂いをふりまきながら。
すると手も足も出ないでしょう。

  第二の少女

私は彼の前に走り出てやるわ、
魚の卵のように小さいいろいろな
色をちりばめた衣装を虹みたいにひろげて。
その糸が
彼をとまどわせるでしょう。

  第三の少女

あらあら、その... あのかわいそうな人!
私は彼の前に走り出てやるわ、
妙な具合にふうふうと音を立てて。
すると彼は耳をそばだてるでしょう。
私は喉音の世界に天国の唇音を
ささやいてあげる。
彼はいちころでしょう。

(Wallace Stevens, The Plot Against the Giant)