あのロマンティックな星
(マグノリアの花を思って、
薔薇の花を思って。)
あのロマンティックな星は
発狂しました。
ばらりん、
ばららん。
(歌いなさい、小さな蛙、
草陰の
きみの小屋で。)
(Federico García Lorca, Una)
Wednesday, 30 April 2008
Tuesday, 29 April 2008
Monday, 28 April 2008
Sunday, 27 April 2008
Saturday, 26 April 2008
Friday, 25 April 2008
Thursday, 24 April 2008
Wednesday, 23 April 2008
淀み(ロルカ)
フクロウが
瞑想をやめて、
眼鏡を拭き
ためいきをつく。
一匹の蛍が
山を転げ落ち
ひとつの星が
少しだけ動く。
フクロウは翼をばたばたし
また瞑想をつづける。
(Federico García Lorca, Remanso)
瞑想をやめて、
眼鏡を拭き
ためいきをつく。
一匹の蛍が
山を転げ落ち
ひとつの星が
少しだけ動く。
フクロウは翼をばたばたし
また瞑想をつづける。
(Federico García Lorca, Remanso)
Tuesday, 22 April 2008
Monday, 21 April 2008
眠る鏡のための子守唄(ロルカ)
ねむれ。
さまようまなざしを
恐がらずに
ねむりなさい。
蝶も
言葉も
鍵穴からこっそり
さしこむ光も
きみを傷つけることはない。
おねむり。
私の心臓とおなじく
きみのことも。
私の鏡よ。
愛が私を待つ庭よ。
何も気にせずにおねむり、
でもちゃんと起きるんだよ
私の唇の最後の口づけが
死んでゆくそのときには。
(Federico García Lorca, Berceuse al espejo dormido)
さまようまなざしを
恐がらずに
ねむりなさい。
蝶も
言葉も
鍵穴からこっそり
さしこむ光も
きみを傷つけることはない。
おねむり。
私の心臓とおなじく
きみのことも。
私の鏡よ。
愛が私を待つ庭よ。
何も気にせずにおねむり、
でもちゃんと起きるんだよ
私の唇の最後の口づけが
死んでゆくそのときには。
(Federico García Lorca, Berceuse al espejo dormido)
Sunday, 20 April 2008
Saturday, 19 April 2008
両目(ロルカ)
両目に開くのは
無限の道。
両目は影の
二つの十字路。
死はいつもこんな
隠れた野原からやってくる。
(涙の花々を
手折る女庭師。)
瞳は地平線を
もたない。
私たちは原生林でのように
瞳の中で道に迷う。
行けば戻ることのできない
城にむかって
虹彩の中ではじまる
道をゆくのだ。
愛なき少年よ、
神がおまえを赤いツタから解放してくれますように!
そしてきみ、ネクタイに
刺繍をするエレニータ、
きみはあの旅人に気をつけるんだよ!
(Federico García Lorca, Los ojos)
無限の道。
両目は影の
二つの十字路。
死はいつもこんな
隠れた野原からやってくる。
(涙の花々を
手折る女庭師。)
瞳は地平線を
もたない。
私たちは原生林でのように
瞳の中で道に迷う。
行けば戻ることのできない
城にむかって
虹彩の中ではじまる
道をゆくのだ。
愛なき少年よ、
神がおまえを赤いツタから解放してくれますように!
そしてきみ、ネクタイに
刺繍をするエレニータ、
きみはあの旅人に気をつけるんだよ!
(Federico García Lorca, Los ojos)
Friday, 18 April 2008
シント(神道)(ロルカ)
黄金の小さな鐘たち。
龍のパゴダ。
チリンチリン
稲田の上で。
素朴な泉。
真実の泉。
遠くでは、
薔薇色の鷺
そして萎れてしまった火山。
(Federico García Lorca, Sinto)
龍のパゴダ。
チリンチリン
稲田の上で。
素朴な泉。
真実の泉。
遠くでは、
薔薇色の鷺
そして萎れてしまった火山。
(Federico García Lorca, Sinto)
奇想曲(ロルカ)
それぞれの鏡の裏には
死んだ一個の星と
眠っている子供の虹がいる。
それぞれの鏡の裏には
永遠の静寂と
まだ飛んだことのない
沈黙たちの巣がある。
鏡は泉のミイラ、
夜になれば
光の貝のように
閉じてしまう。
鏡は
露の母、
たそがれを解剖する書物、
肉となった山びこ。
(Federico García Lorca, Capricho)
死んだ一個の星と
眠っている子供の虹がいる。
それぞれの鏡の裏には
永遠の静寂と
まだ飛んだことのない
沈黙たちの巣がある。
鏡は泉のミイラ、
夜になれば
光の貝のように
閉じてしまう。
鏡は
露の母、
たそがれを解剖する書物、
肉となった山びこ。
(Federico García Lorca, Capricho)
Wednesday, 16 April 2008
ロマンスの言い換え(ウォレス・スティーヴンズ)
夜は夜の歌について何も知らない。
それはただそれ自身、私が私であるように。
そしてこれを知覚することにおいて私は私自身をもっともよく知覚する。
そしてきみを。ただ私たち二人だけが交換できる
互いに相手の中にある互いに与えられるものを。
ただ私たち二人だけがひとつなのだ、きみと夜ではなく、
夜と私でもなく、きみと私、孤独に
あまりにも孤独に、あまりにも深く二人きりで、
それはちょっとした孤独などはるかに越えているので、
夜はもはや私たちの背景でしかなく、
私たちは互いに独立した自己のそれぞれにひどく忠実だ、
互いに相手に投げつける青白い光の中で。
(Wallace Stevens, Re-statement of Romance)
それはただそれ自身、私が私であるように。
そしてこれを知覚することにおいて私は私自身をもっともよく知覚する。
そしてきみを。ただ私たち二人だけが交換できる
互いに相手の中にある互いに与えられるものを。
ただ私たち二人だけがひとつなのだ、きみと夜ではなく、
夜と私でもなく、きみと私、孤独に
あまりにも孤独に、あまりにも深く二人きりで、
それはちょっとした孤独などはるかに越えているので、
夜はもはや私たちの背景でしかなく、
私たちは互いに独立した自己のそれぞれにひどく忠実だ、
互いに相手に投げつける青白い光の中で。
(Wallace Stevens, Re-statement of Romance)
Tuesday, 15 April 2008
ドビュッシー(ロルカ)
私の影がしずかにゆく
用水路の水の上を。
私の影のせいで蛙たちは
星々を奪われている。
影は私の体にむかって
しずかな事物の反映を送る。
私の影は巨大な
紫色の蚊のように飛ぶ。
百匹のコオロギが葦原の
光を黄金に塗りたがっている。
ひとつの光が私の胸で生まれる。
あの用水路で反映して。
(Federico García Lorca, Debussy)
用水路の水の上を。
私の影のせいで蛙たちは
星々を奪われている。
影は私の体にむかって
しずかな事物の反映を送る。
私の影は巨大な
紫色の蚊のように飛ぶ。
百匹のコオロギが葦原の
光を黄金に塗りたがっている。
ひとつの光が私の胸で生まれる。
あの用水路で反映して。
(Federico García Lorca, Debussy)
Monday, 14 April 2008
町の嵐(思い出1893年) (トマス・ハーディ)
彼女は新しいテラ・コッタ色のドレスを着ていた、
私たちはそのまま、打ちつける嵐のせいで
ハンサム(二人乗り馬車)の乾いた席で待っていた、
馬が動こうとしなかったので。そう、不動のまま
私たちはすわっていた、気持ちよく、暖かく。
やがてどしゃ降りがやみ、私は鋭いさびしさの痛みを感じた
するとさっきまで私たちのかたちを映していたガラスが
はねあげられ、彼女は飛び出し扉に急いだ。
私は彼女に口づけしていたにちがいないのだ、もしも
雨があと一分間だけつづいていたならば。
(Thomas Hardy, A Thunderstorm in Town: (A Reminiscence 1893))
私たちはそのまま、打ちつける嵐のせいで
ハンサム(二人乗り馬車)の乾いた席で待っていた、
馬が動こうとしなかったので。そう、不動のまま
私たちはすわっていた、気持ちよく、暖かく。
やがてどしゃ降りがやみ、私は鋭いさびしさの痛みを感じた
するとさっきまで私たちのかたちを映していたガラスが
はねあげられ、彼女は飛び出し扉に急いだ。
私は彼女に口づけしていたにちがいないのだ、もしも
雨があと一分間だけつづいていたならば。
(Thomas Hardy, A Thunderstorm in Town: (A Reminiscence 1893))
Sunday, 13 April 2008
散歩(トマス・ハーディ)
きみはこのごろは一緒に歩いてくれなかったね
あの門の先の道を
丘の上の木まで。
むかしみたいには。
きみは弱り足もきかないので、
とても一緒には来られなかった、
それでおれはひとりで歩いたが、気にもしなかったのさ、
きみを置いてきたつもりなんてまるでなかったので。
きょうもおれはあそこまで歩いてみた
いつもやっていた通りさ。
あたりを見渡した
よく知っている土地を
またきょうもひとりで。
だったら違いは何だ?
ただあの隠された感覚だけ、あそこから
戻ったとき、はたして部屋はどんな風に見えることか。
あの門の先の道を
丘の上の木まで。
むかしみたいには。
きみは弱り足もきかないので、
とても一緒には来られなかった、
それでおれはひとりで歩いたが、気にもしなかったのさ、
きみを置いてきたつもりなんてまるでなかったので。
きょうもおれはあそこまで歩いてみた
いつもやっていた通りさ。
あたりを見渡した
よく知っている土地を
またきょうもひとりで。
だったら違いは何だ?
ただあの隠された感覚だけ、あそこから
戻ったとき、はたして部屋はどんな風に見えることか。
Saturday, 12 April 2008
大地(ロルカ)
私たちはゆく
水銀を塗っていない
鏡の下を、
雲のない
水晶の下を。
もし百合たちが
裏返しに花咲くなら、
もし薔薇たちが
裏返しに花咲くなら、
もしすべての根が
星々を見つめ
死者がその目を
閉じないなら、
私たちは白鳥に似るだろう。
(Federico García Lorca, Tierra)
水銀を塗っていない
鏡の下を、
雲のない
水晶の下を。
もし百合たちが
裏返しに花咲くなら、
もし薔薇たちが
裏返しに花咲くなら、
もしすべての根が
星々を見つめ
死者がその目を
閉じないなら、
私たちは白鳥に似るだろう。
(Federico García Lorca, Tierra)
Friday, 11 April 2008
Thursday, 10 April 2008
反映(ロルカ)
お月さま、奥さま。
(水銀が割れてしまったの?)
いいえ。
どこかの男の子が
提灯を燃やしてしまったの?
たった一頭の蝶だって
あなたを消すには十分。
お黙り... だって本当なんです!
あそこにいる蛍は
月なんですよ。
(Federico García Lorca, Reflejo)
(水銀が割れてしまったの?)
いいえ。
どこかの男の子が
提灯を燃やしてしまったの?
たった一頭の蝶だって
あなたを消すには十分。
お黙り... だって本当なんです!
あそこにいる蛍は
月なんですよ。
(Federico García Lorca, Reflejo)
Wednesday, 9 April 2008
小さな古いテーブル(トマス・ハーディ)
きしめ、小さな木のテーブルよ、きしめ、
私がきみに肘や膝でふれるとき。
きみはそんな風にして私に語る
きみを私にくれたあの人について!
きみを、小さなテーブルよ、連れてきたのは彼女ーー
彼女自身の手で運んできたのだ、
私のことをある考えをもって見るのだが
その考えは私には理解できなかった。
ーー誰であれやがてそれを所有し、
その音を聞く人は、けっして知ることはないだろう
このはるかむかしのきしみに
どんな歴史が秘められているかを。
(Thomas Hardy, The Little Old Table)
私がきみに肘や膝でふれるとき。
きみはそんな風にして私に語る
きみを私にくれたあの人について!
きみを、小さなテーブルよ、連れてきたのは彼女ーー
彼女自身の手で運んできたのだ、
私のことをある考えをもって見るのだが
その考えは私には理解できなかった。
ーー誰であれやがてそれを所有し、
その音を聞く人は、けっして知ることはないだろう
このはるかむかしのきしみに
どんな歴史が秘められているかを。
(Thomas Hardy, The Little Old Table)
Tuesday, 8 April 2008
象徴 (ロルカ)
キリストは
両手にひとつずつ
鏡をもっていた。
自分自身の幽霊を
増殖させた。
彼の心臓を
黒いまなざしのうちに
投影した。
信じます!
(Federico García Lorca, Símbolo)
両手にひとつずつ
鏡をもっていた。
自分自身の幽霊を
増殖させた。
彼の心臓を
黒いまなざしのうちに
投影した。
信じます!
(Federico García Lorca, Símbolo)
Monday, 7 April 2008
ピータ(竜舌蘭) (フェデリコ・ガルシア・ロルカ)
化石となった蛸。
きみは灰色の腹帯を
山々の腹に巻き
恐るべき臼歯を
山間の細道に置く。
化石となった蛸。
(Federico García Lorca, Pita)
きみは灰色の腹帯を
山々の腹に巻き
恐るべき臼歯を
山間の細道に置く。
化石となった蛸。
(Federico García Lorca, Pita)
Sunday, 6 April 2008
雲 (エウジェニオ・デ・アンドラーデ)
私は自分が気に入るにちがいない仕事を学ばなくてはならない、そんなものはいくつもないのだが。たぶん大工か、石工。この砂地の土地に湿った、なめらかな、苔がたくさん生えた、冷たい石で、一軒の家を建てよう。美しい石だ、割れ目が交叉し、互いにそっぽをむきあっている。私は山羊たちが歩く小径をたどってゆかなくてはならない、夕方の終わりごろ、大道芸人たちが栄光に包まれてやってくるのを見るために。かれらがしめしてくれるのは、ゆっくりと流れる、とても白い、遠ざかりゆく雲。
(Engénio de Andrade, As nubens)
(Engénio de Andrade, As nubens)
Saturday, 5 April 2008
チュンベーラ(ウチワサボテン) (フェデリコ・ガルシア・ロルカ)
野生のラオコーン。
きみはなんて立派なんだ
半月の下で!
複数化したペロータ選手たち。
きみはなんて立派なんだ
風をおびやかしつつ!
ダフネとアティスは
きみの痛みを知っている
説明できないそれを。
(Federico García Lorca, Chumbera)
きみはなんて立派なんだ
半月の下で!
複数化したペロータ選手たち。
きみはなんて立派なんだ
風をおびやかしつつ!
ダフネとアティスは
きみの痛みを知っている
説明できないそれを。
(Federico García Lorca, Chumbera)
Friday, 4 April 2008
クロタロ(カスタネット) (フェデリコ・ガルシア・ロルカ)
クロタロ。
クロタロ。
クロタロ。
よく響く黄金虫。
手という
蜘蛛の中で
おまえはぬるい
空気に波立たせる
そしておまえの木のさえずりの中で
溺れる。
クロタロ。
クロタロ。
クロタロ。
よく響く黄金虫。
(Federico García Lorca, Crótaro)
クロタロ。
クロタロ。
よく響く黄金虫。
手という
蜘蛛の中で
おまえはぬるい
空気に波立たせる
そしておまえの木のさえずりの中で
溺れる。
クロタロ。
クロタロ。
クロタロ。
よく響く黄金虫。
(Federico García Lorca, Crótaro)
Thursday, 3 April 2008
女の肖像(エウジェニオ・デ・アンドラーデ)
彼女の顔に表れていたのは時だけではなく、山羊たちもまた深く足跡を残していた。むずかしかった、不可能だった、彼女を土地そのものから区別するのは。老いて、乾き、風が通過するとぼろぼろと崩れる。ポルトガル女、きわめて貧しく。
(Engénio de Andrade, Retrato de mulher)
(Engénio de Andrade, Retrato de mulher)
Wednesday, 2 April 2008
恋歌(W・B・イェイツ)
恋歌
(ゲール語から)
恋人よ、行こう、行こう、おれときみとで、
そして遠い森でおれたちは露を散らそう、
すると鮭は見ているだろう、川ガラスもおなじだ、
恋人よ、おれたちは聞くだろう、おれときみとで
雌鹿と雄鹿が呼びかわす遠い声を。
すると枝にいる小鳥は澄んだ声でおれたちのために歌う、
姿を見せない郭公もお祭り気分で鳴く。
そして死は、ああきれいな人よ、そばに近づくことさえしない、
あの遠く香しい森に抱かれているかぎり。
(W.B. Yeats, Love Song: From the Gaelic)
(ゲール語から)
恋人よ、行こう、行こう、おれときみとで、
そして遠い森でおれたちは露を散らそう、
すると鮭は見ているだろう、川ガラスもおなじだ、
恋人よ、おれたちは聞くだろう、おれときみとで
雌鹿と雄鹿が呼びかわす遠い声を。
すると枝にいる小鳥は澄んだ声でおれたちのために歌う、
姿を見せない郭公もお祭り気分で鳴く。
そして死は、ああきれいな人よ、そばに近づくことさえしない、
あの遠く香しい森に抱かれているかぎり。
(W.B. Yeats, Love Song: From the Gaelic)
Tuesday, 1 April 2008
上着(W・B・イェイツ)
私は私の歌を上着とした
古い神話でできた
刺繍におおわれているのだ
かかとからのどまで。
だが道化どもがそれをつかまえ、
世間の目が見ている中で着た
かれら自身が作ったもののように。
歌よ、やつらに好きに使わせてやれ、
なぜなら企てはより大きいのだから
裸で歩くことのほうが。
(W.B. Yeats, A Coat)
古い神話でできた
刺繍におおわれているのだ
かかとからのどまで。
だが道化どもがそれをつかまえ、
世間の目が見ている中で着た
かれら自身が作ったもののように。
歌よ、やつらに好きに使わせてやれ、
なぜなら企てはより大きいのだから
裸で歩くことのほうが。
(W.B. Yeats, A Coat)
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