Monday, 14 April 2008

町の嵐(思い出1893年) (トマス・ハーディ)

彼女は新しいテラ・コッタ色のドレスを着ていた、
私たちはそのまま、打ちつける嵐のせいで
ハンサム(二人乗り馬車)の乾いた席で待っていた、
馬が動こうとしなかったので。そう、不動のまま
 私たちはすわっていた、気持ちよく、暖かく。

やがてどしゃ降りがやみ、私は鋭いさびしさの痛みを感じた
するとさっきまで私たちのかたちを映していたガラスが
はねあげられ、彼女は飛び出し扉に急いだ。
私は彼女に口づけしていたにちがいないのだ、もしも
 雨があと一分間だけつづいていたならば。

(Thomas Hardy, A Thunderstorm in Town: (A Reminiscence 1893))