Thursday, 25 December 2008

お金のない恋人たち(エウジェニオ・デ・アンドラーデ)

通り行く人々に、きっぱり顔を上げていた。
数々の伝説と神話と
冷たさを心にもっていた。
月が水と手をつないで歩く
庭をもっていた
石像の天使が兄弟。

誰でもそうであるように
屋根からしたたり落ちる
毎日の奇跡をもっていた。
その黄金の目では
突拍子もなくさまよう
夢が燃えていた。

獣のように渇き飢えていた
そして沈黙が
かれらの足跡をとりまいていた。
けれども二人のすべての仕草ごとに
かれらの指からは一羽の小鳥が生まれ
まばゆく輝きながら私たちの空へと去ってゆくのだ。

(Eugénio de Andrade, Os amantes sem dinheiro)