Friday 12 September 2008

隠喩の動機(ウォレス・スティーヴンズ)

きみは秋の樹木の下が気に入っているね、
なぜならすべてが半ば死んでいるからだ。
風は木の葉のあいまを不自由に動き
意味のない語を反復する。

おなじように、きみは春にも幸福だった、
四分の一できあがった物たちの半ばだけの色彩に、
少しだけより明るい空、溶ける雲、
一羽だけの鳥、暗い月----

暗い月が暗い世界を照らしているのだ
けっして完全には表現されない事物の世界を、
そこではきみ自身けっして十分きみ自身でなく
そんなことは望みもせずそうある必要もなかった、

変化の快活さを望みながら。
隠喩への動機は原初の月の
重みから収縮していた、
存在のABCから、

赤と青の
ハンマー、硬い音----
血色のよい気質にぶつかる鋼----鋭い閃光、
生気にみちて、傲慢で、致命的で、支配的なX。

(Wallace Stevens, The Motive for Metaphor)