Tuesday, 6 January 2009

フリージア(エウジェニオ・デ・アンドラーデ)

故国には少しは意味がある
それについて話す時にそれが
私たちに口づけしてくれる口であるなら、
その子音のうちに運んでくれるのは
麦、蝉、
魂と、肉体と、空気の
振動、
あるいはまた家の中を突き抜ける光
フリージアとともに
そしてね、ともだちよ、それが心を軽くしてくれるんだ。

(Eugénio de Andrade, Frésias)

Sunday, 4 January 2009

たそがれに(エウジェニオ・デ・アンドラーデ)

肉体を離れて光が
這ってゆく、
雨と見分けがつかなくなって。
冷えてきた、カモメたちは
岩場で体を寄せ合う。
猫は丸くなって夢を見る。
私は一冊の本を取り上げる、すると突然
ひとりの子供が詩行から落ちる。
死んだ子供だ。

(Eugénio de Andrade, Ao crepúsculo)

Friday, 2 January 2009

ファンゥのノクターン(エウジェニオ・デ・アンドラーデ)

言葉づたいに
夜が上がってゆく
もっとも高い枝まで。

そして歌う
一日のエクスタシーを。

(Eugénio de Andrade, Nocturno de Fão)

家の変容(エウジェニオ・デ・アンドラーデ)

空気の石を積み上げて建ててゆくのだ
ただ詩の中にしかない私の家は。

家は眠り、風の中で夢見る
突然訪れたマストになる喜び。

繊細な体が震えるそのように、
家も震える、船も震える。

カモメが一羽飛ぶ、もう一羽、もう一羽、
家はがまんできなくなって、やはり飛び立つ。

ああ、いつか家は森になるだろう、
その木陰に私は泉を見つけるだろう、
そこでは水音だけが唯一のしずけさ。

(Eugénio de Andrade, Metamorfoses da casa)

果物の静物画(エウジェニオ・デ・アンドラーデ)


キイチゴの朝の血が
愛するためにリネンの白を選ぶ。


輝きと甘さにみちた朝は
その純粋な顔をリンゴへと伏せる。


オレンジにおいて太陽と月が
手をつないで眠る。


葡萄のひとつぶひとつぶは覚えている
夏の日々それぞれの名前を。


ザクロの中に私は愛する
炎の芯のやすらぎを。

(Eugénio de Andrade, Natureza-morta com frutos)

Tuesday, 30 December 2008

雨の中の家(エウジェニオ・デ・アンドラーデ)

雨だ、またオリーヴの林に雨が降る。
なぜこの午後降るのかがわからない
私の母はすでに去ってしまったのに、
もうベランダに出て雨が落ちるのを見ることもない、
もう編物をする手もとから目を上げることもない、
こうたずねるために。「聞こえるかい?」
聞こえるよ、母さん、また雨だね、
雨が母さんの顔に降っている。

(Eugénio de Andrade, Casa na chuva)

地中海(エウジェニオ・デ・アンドラーデ)

ホイットマンの詩の中でのようにひとりの少年が
近づいてきて私にたずねた。草って何?
彼のまなざしと私のまなざしのあいだで空気が痛みを感じた。
他の多くの午後の陰で、私は彼に語った
地面のそばにいる蜜蜂や矢車菊のことを。

(Eugénio de Andrade, Mediterrâneo)