Saturday 2 February 2008

読者(ウォレス・スティーヴンズ)

一晩中 私はすわり本を読んでいた、
すわって読んでいた まるで
暗いページの本を読むように。

秋で 降る星々が
月光の中にしゃがみこむ
しなびたかたちを覆っていた。

私が読むあいだランプは燃えていなくて、
何かの声がつぶやいていた、「すべては
冷たさの中に帰ってゆくのだ、

葉の無い庭園の
じゃこうの匂いのするマスカディンだって、
メロンや朱色の梨だって」

暗いページには印刷がなく
あるのはただ凍った天の
燃える星たちの軌跡のみ。

(Wallace Stevens, The Reader)